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内部を10°傾けた入れ子の住宅

谷中の木造密集地域に建つ三階建て住宅です。町並みに溶け込む外壁のなかに、10°角度を振った壁を入れ子状に差し込むことでまちと生活の「あいだ」を生み、生活の中に余白を生んでいます。

東京谷中の木造密集地に建つ狭小住宅。
周囲には戦災を逃れた社寺も多く残っており、準防火地域に指定されている。いわゆる都市型住宅というジェネリックな立地条件に対し、あえて10°という角度を持ち込むことで画一的な町並みにささやかな異質性を呼び込む計画とした。

外観は周辺住戸と馴染むようにバルコニーやピロティーの寸法感を踏襲したシンプルな矩形とし、入れ子状の内壁を10°捩ることで、隅部に壁の厚みが裂けてできたような不思議な三角形の気積が生まれる。
そこを階段室や吹き抜け、バルコニーとすることで、採光や通風、断熱、動線として機能するだけでなく、外部環境との距離感を調停する内でも外でもない第三の空間として位置づけた。
さらに、三角形の気積が光溜まりとなり、視覚的に実際の面積以上の広さをもたらしている。
また、3階建は相対的に上下移動が多くなるが、暗がりの下階から明るい上階へと末広がりな階段形状によって、単調になりがちな移動空間に抑揚をもたせた。

三方を建物に囲まれた狭小地に対して、内部を10°捩るという一手により、明るさとプライバシーを両立させ、見慣れた住宅の風景を一変させる試み。

制作プロセス

概要

竣工2025年1月
設計期間2023年4月〜2024年4月
施工期間2024年6月〜2025年1月
所在地東京都台東区
用途住宅
構造木造一部鉄骨造
規模地上3階
延床面積98.33㎡
種別新築
構造等級等級3(最高水準)
断熱等級等級6
一次エネルギー消費量等級等級6(最高水準)

体制

クライアント個人
設計HAGISO (村越 勇人、宮崎 晃吉)
構造建築食堂 (白橋 祐二、松本 淳)
施工関内建匠 (関内 順平)
写真エスエス (堀越 圭晋)、HAGISO (村越 勇人)

メディア

TECTURE
designboom
designverse
archdaily
archello
architecturephoto
toolbox
名古屋モザイク
Hypebeast

PEOPLE

携わる人たち

宮崎 晃吉

代表取締役

ねじって生まれる中間領域が住宅とまちとの関係を調和させます。

村越 勇人

アーキテクト(元スタッフ)

木造密集地、30坪、準耐火、三階建、という都心らしい敷地の中でアイデアを尽くした住宅です。10°傾けるという大きな一手はもちろんですが、3種類の階段や建具取手、各種手摺、異形の家具など、手で触れる部分のディテールにこだわりました。狭さというものを親密さに置き換え、自分の半径3m以内で起こる現象や活動の可能性を広げています。さらに、建設住宅性能評価によって、構造、断熱、省エネともに最高水準レベルを取得し、性能値も担保しました。

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