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hanare | 建築について

東京の記憶の一断片としての木賃アパート

hanareの宿泊棟第1号としての丸越荘は、築50年の木造アパートを改修したものである。もともとは8室の居室と、2つの共同トイレによる田の字型プランであったが、旅館業法に適応するために各階一室分を水回りのためのスペースとして使用した。屋根は瓦が葺かれていたが、重量や蓄熱性、防水性に難があったため、野地板までを残し、白く塗装した合板、断熱材、ガルバリウム鋼板を葺き直している。これによって、天井面に新たな縞状の意匠が現れた。宿泊室の床は300mmほど上げることで廊下とのレベル差をつくり、腰高の窓の高さに合わせることで掃き出し窓のように見せることで、床の広がりと外観とのギャップを生み出している。外周の内壁は真壁として残しながら、その他の壁はすべて大壁とし、白い壁面が既存の躯体をトリミングしていく。押し入れを前室として置き換えたり、腰高窓を掃き出し窓に位相をずらすなど、切り取り、読み替えの作業をしていくことで、東京のある時代に確実に存在した建物の記憶との折り合いをつけようとしている。

概要

竣工2015年10月
設計期間2015年4月〜2015年7月
施工期間2015年7月〜2015年10月
所在地東京都台東区谷中
用途宿泊施設
構造木造
規模地上2階
敷地面積71.04㎡
建築面積52.99㎡
延床面積91.93㎡
種別リノベーション

体制

クライアント個人
設計HAGI STUDIO(宮崎晃吉)
施工富士ソーラーハウス
写真馮 意欣

メディア

新建築 2016年1月

受賞

グッドデザイン賞2018 金賞 ファイナリスト

PEOPLE

携わる人たち

宮崎 晃吉

HAGISO | 代表取締役

かなり傷んだ状態でしたが、もともとある不揃いな野地板や丸太梁、型ガラスなどを愛でることで小さくも凛とした建築になりました。

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