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HAGISO | 建築について

アクティビティを誘発する溶けた単位空間

HAGISOはもともと中廊下型で6畳の居室が廊下に面して計14室並んでいたアパート「萩荘」であった。各部屋は完全に在来木造の規格に則り、単位空間が反復する個室群のビルディングタイプである。シェアハウスとして学生時代に使われていた時からすでにその反復を侵す行為(壁を破壊する行為)は少しずつ行われていたが、2013年のHAGISOとしての改修で決定的に崩されることになった。もともとの個室は最小スパンを保ったまま、縦横につなげられ、もしくは切断されて本来の性質から遠ざかっていった。

列柱となって残った中廊下を挟んで、両側に性質の異なる空間を併置している。北側の吹き抜けとなった空間はギャラリーとし、ハイサイドライトから安定した間接光を取り込み、内部の白い壁面がさらに光を拡散させている。一方、南側の路面でありながら小さな横長窓しかない空間はカフェとし、薄暗くも奥行きをもった客席となった。

この二つの機能は経営的にも両輪をなしており、カフェで収益をあげることによってギャラリーの使用を無料で若いアーティストなどに貸し出している。一方でカフェは毎月替わる展示物によって新規客を招くメリットを享受することができる。

単位グリッドをもちながら、ユニヴァーサルとは言えない柱の多い一連の空間は、使い手にとってはしかし逆に使い方を誘発するようで、これまで幾多もの解釈を試行されてきた。それら全てがまたこの場所のコンテクストを深めている以上、この空間実験は続ける価値があるといえるだろう。

概要

竣工2013年3月
設計期間2012年5月~2012年9月
施工期間2012年9月~2013年3月
所在地東京都台東区
用途飲食店
構造木造
規模2階建
敷地面積177.35㎡
建築面積106.39㎡
延床面積187.52㎡
種別リノベーション

体制

クライアント宗林寺 / 自社運営
設計HAGI STUDIO(宮崎 晃吉・顧彬彬)
サイン田中裕亮・吉川一陽
施工Roovice
写真Yikin Hyo

メディア

新建築 2016年1月

受賞

グッドデザイン賞2018 金賞 ファイナリスト

PEOPLE

携わる人たち

宮崎 晃吉

HAGISO | 代表取締役

工事現場に机を置いてパソコンを開いて図面を引いていました。手探り状態でしたが、建築をつくる肌触りを感じた時間。

顧 彬彬

HAGISO | 取締役

梶原 千恵子

HAGISO大家さん

梶原 壽雄

宗林寺住職

田中 裕亮

ROWBOAT

吉川 一陽

Wieden+Kennedy Tokyo Art Directo

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