心も体も切り替わる、日常と非日常の中間地点
東京鶯谷駅のほど近く、台東区根岸に建つホテルの新築プロジェクト。
HAGISOはコンセプトプロデュースとインテリアデザイン、および一階飲食店の運営として関わっている。
事業主である株式会社インテリックス社が、もともと地域の金融機関、第一勧業信用組合から「地域への貢献」を条件に譲り受けた土地に、如何にして169室を擁するホテルを定着させるかがプロジェクトの肝となった。特に街の一等地に建つ大きなホテルは、街にとって重要な場所を占有する一方で、宿泊客のためだけの場所となりがちで、地域の人にとって街の魅力を高めているとは受け取られにくい。本プロジェクトでは企画段階から一階をパブリックな場所として街に開いていくことを企図することとなった。
施設名であるLANDABOUTの名称は「Round about(環状交差点)」をモチーフにした造語である。どこからともなく集まり、一時的に滞留し、それぞれの目的地にむかって出発していくRound aboutは、一期一会の出会いを生んでいくホテルと似ている。その意味に加えLAND(土地)+ABOUT(について)とすることで、どこでもない「ここ」であることの重要性を伝えようとしている。
建築計画は極限まで合理化されたビジネスホテルタイプを原型としている。経済性を求めるため天井高も低く設定されているため、宿泊室においてはなるべく圧迫感を感じさせないことを意図して、目線を低くするためベッドではなく一段上げた床にマットレスという構成とした。
共用部においては、吹き抜けを設けたり床を下げるなどして高さ方向にリズムを与えている。平面的にも、エントランスをセットバックさせつつバルコニーを出したり、二階のカーペットを一階まで引き下ろしてきたりなどすることで領域を横断する要素をそこかしこに配置している。
インテリアの色の組み合わせは、鶯谷の街の温度を写すように、街のなかからサンプリングしてきた色や素材感を再現している。
概要
竣工 | 2020年1月 |
設計期間 | 2019年12月~2021年7月 |
施工期間 | 2021年7月~2020年1月 |
所在地 | 東京都台東区根岸 |
用途 | ホテル / 飲食店 |
構造 | 鉄骨造 |
規模 | 地上15階 |
敷地面積 | 563.88㎡ |
建築面積 | 306.02㎡ |
延床面積 | 3,497.04㎡ |
種別 | 内装設計(新築) |
体制
クライアント | インテリックス |
内装設計 | HAGI STUDIO(宮崎 晃吉・児林幸輔) |
建築設計 | 株式会社櫻井康裕建築都市設計事務所 |
サイン・グラフィック | ROWBOAT(田中祐亮) |
施工 | 新日本建設株式会社 |
写真 | Hajime Kato |
メディア
受賞
PEOPLE
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